RGBは一般に、加法混色の表現であり、ディスプレイのように発光体が示す色を表現する場合によく用いられる。加法混色とは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色光を組み合わせて色彩を表現する方法である。これら三色は、光の三原色とも呼ばれ、混合に伴って色は明るくなる。
光の三原色は、ヒトの生態に関連するといわれる。ヒトの目における3種類の感光性の光受容体細胞は、黄味がかった緑(564 nm)、青みがかった緑色(534 nm)、そして青みがかったすみれ色(420 nm)をピークとして反応する。三種類の受容体細胞のそれぞれの反応は脳によって検出されて、色光に対する色の概念と結び付けられる。
コンピュータでは、RGB各8ビットを割りあてることによって、1677万7216色の表示を可能にしている。ただし、コンピュータディスプレイ上で出力された色の強度は、R, G, Bの値と比例していない。また、現在のスクリーンの解像度では、正常な色覚で識別可能な2~300の色相を表現できないといわれている[1]。
インターネット上で提示される標準としての色のRGBは、1953年のRCA Color TV standards および Edwin Herbert LandがLand / Polaroid カメラで用いた標準の色がルーツであるといわれる。RGBによる色の再現は、R, G, Bそれぞれの正確なスペクトル構成を定義していない。例えば「強度の最も強い『赤』」がどのような光であるかを定めていないため、RGB値が示す結果は正確な色を示さない。
R, G, B それぞれの強度が100%の場合、混色の結果は白を示す。ここで、R, G, Bそれぞれの正確なスペクトル構成が定義される必要があるのと同様に、白をどのような色あいの白で表現するかも定義される必要がある。
RGB 各100%の白をどのような色あいで表現するかをホワイトポイント(白色点)と呼び、物質を高温に熱したときに放つ光の色に対応させた「色温度」で表す。色温度の単位はK(ケルビン)である。以下の表は、種々の「白」に対する色温度の目安である。
表. 種々の「白」に対する色温度の目安
物質 | 色温度(K) | 備考 |
---|---|---|
標準の光A | 約2,856 | 左記の色温度のタングステン電球の光。 |
標準の光B | 約4,874 | 可視波長域の直射太陽光。標準光源Aに規定のデビス・ギブソンフィルターをかけて相関色温度を約4874kにした光源。 |
普通の紙の白色 (ペーパーホワイト) |
5,000 | 印刷や写真業界では紙に合わせて白の基準を5,000K(昼白色とも呼ぶ)に取ることが多く、写真用ライトボックスの光源などはこの値に調整されている。 |
CIE昼光 標準の光D55 |
約5,503 | 標準の光D65に次いで、優先的に用いられる。 |
CIE昼光 標準の光D65(昼間の屋外光) |
6,504 | 太陽からの直射光と天空からの青い光の合算。 コンピューターを使った印刷(DTP)や、色彩工学や眼科の世界では、昼色光やコート紙や印画紙の白色に近い6,500K を基準に用いることが多い。 |
医療用のシャーカステンの光源 | 主に 6,700 | 昼光色 |
標準の光C | 約6,774 | 可視波長域の平均的な昼光。標準光源Aに規定のデビス・ギブソンフィルターをかけて相関色温度を約6774kにした光源。 |
CIE昼光 標準の光D75 |
約7,504 | 標準の光D65に次いで、優先的に用いられる。 |
CRTディスプレイ | 9,300 | テレビ画面は青みが強い方が派手で鮮やかに感じられるため、ほとんどのパソコンモニターは出荷時には白色を9,300Kに設定してある |
青白い天空の光 | 12,000 |
上の表より、画面の色と印刷色とを近づけるには、まずモニターの色温度設定を6,500K に変えるとよい。「CIE標準の光」として示される光は、実在する光の分光分布を代表することを意図して定めてある。 なお、標準の光D65 及び その他の標準の光Dを実現する人工光源は、まだ、確定されていない。
一般に、RGB空間は、光の三原色と ホワイトポイント の定義によって指定される。様々なRGBにおいて、以下の表に示すように三原色およびホワイトポイントが与えられる。三原色のそれぞれは、CIE 1931色空間 色度座標(x、y)を用いて示す。
表. 種々のRGB空間パラメータ[2]
Color Space | Gamut | White Point | 光の三原色となる色度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
xR | yR | xG | yG | xB | yB | |||
ISO RGB | Limited | floating | floating | |||||
Extended ISO RGB | Unlimited (signed) | floating | floating | |||||
sRGB, HDTV (ITU-R BT.709-3) |
CRT | D65 | 0.64 | 0.33 | 0.30 | 0.60 | 0.15 | 0.06 |
ROMM RGB | Wide | D50 | 0.7347 | 0.2653 | 0.1596 | 0.8404 | 0.0366 | 0.0001 |
Adobe RGB 98 | CRT | D65 | 0.64 | 0.34 | 0.21 | 0.71 | 0.15 | 0.06 |
Apple RGB | CRT | D65 | 0.625 | 0.34 | 0.28 | 0.595 | 0.155 | 0.07 |
NTSC (FCC 1953) | CRT | Ill. C | 0.67 | 0.33 | 0.21 | 0.71 | 0.14 | 0.08 |
NTSC (1979) (SMPTE C, SMPTE-RP 145) |
CRT | D65 | 0.63 | 0.34 | 0.31 | 0.595 | 0.155 | 0.07 |
PAL/SECAM (EBU 3213, ITU-R BT.470-6) |
CRT | D65 | 0.64 | 0.33 | 0.29 | 0.60 | 0.15 | 0.06 |
CIE (1931) | Wide | E | 0.7347 | 0.2653 | 0.2738 | 0.7174 | 0.1666 | 0.0089 |
※CIE (1931): 三原色仮説にもとづきCIEが1931年に定めた表色系。
[1] Mike Cowlishaw, "Fundamental requirements for picture presentation", Proc. Society for Information Display, Volume 26, No. 2, 1985.
[2] Susstrunk, Buckley and Swen. Standard RGB Color Spaces
2008/05/24: 作成