フィルタを用いた画像処理をフィルタリングと呼ぶ。時間波形処理は1次元の処理であるが、画像処理の場合は、これを2次元波形(画像)の縦横に対して拡張したものと言える。
フィルタリングの目的は、画像全体に対して同一の演算を施すことによって、画像中のエッジの強調や、ノイズ除去、特定の周波数成分のカットや強調などを行うことである。
フィルタリングには、大別して以下の2種類の手法がある。
音声信号などで周波数の高、低域をフィルタを用いて強調するのと同様に、画像データに対しても周波数帯域を変えることでハイパスフィルタ(高域通過)、バンドパスフィルタ(帯域通過)、ロウパスフィルタ(低域通過)等のフィルタリングを行うことができる。
ここで、画像の場合の周波数とは、濃淡情報の空間的な広がりに着目した空間周波数と呼ばれる概念である。例えば、周波数領域(u, v)におけるフィルタリングは、空間領域(x, y)における画像データf(x, y)のフーリエ変換F(u, v)に対して、フィルタ関数H(u, v)との積をとることで実現できる。すなわち、フィルタリングを施した結果G(u, v)は、
G(u, v)=F(u, v)・H(u, v)
と表され、最終的な画像は、G(u, v) の逆フーリエ変換g(x, y)として得られる。以下に周波数領域でのフィルタリングの適用例を示す。
フィルタリングは、フィルタ関数の逆フーリエ変換 h(x, y) の畳み込み演算によって、空間領域においても行うことができる。特に h(x, y) が、ある限られた領域(たとえば3×3、5×5、7×7など、画像全体に対して充分小さな近傍領域)で値をもつ場合には、空間領域でのフィルタリングを適用することによって容易に結果が得られるため、本手法が適用されることが多い。
以下に、空間領域でのフィルタリングの適用例を示す。
2008/05/24: 作成